ひろば
老人と海—超高齢者の生きざま
奈良 勲
1
Isao Nara
1
1広島大学
pp.1479
発行日 2020年12月15日
Published Date 2020/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202158
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『老人と海』(The Old Man and the Sea)は,アメリカの小説家アーネスト・ヘミングウェイの作品の1つで1952年に出版された.世界的なベストセラーとなり,1954年にヘミングウェイが受賞したノーベル文学賞の大きな根拠となった.その作品は2人の異なる俳優によって映画化されている.
本小説は1950年代に始まったカストロ,ゲバラらによるキューバ革命以前より漁師として長年暮してきた,82歳のサンチャゴが主人公である.当時は社会保障制度も十分に整備されていなかった時代であり,80日以上もの不漁が続いていたため,身体機能が衰退していた彼は助手の少年も雇えず小船で単独1人漁に出た.ところが,あまりにも巨大なカジキが釣れたので,彼はそれを小船まで手繰り寄せ,ロープで小船の横に縛り付けて帰港する.だが,その途中に鮫の群れがカジキに襲いかかるのである.当然のこと彼はカジキを鮫に奪われまいと櫓で鮫と長い時間格闘するのだが,年老いた彼は力尽きてしまいカジキの骨だけが残るという物語である.
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