特集 看護の場は個を生かしうるか
自分の思っていることが行動となる看護を
柏倉 栄子
1
1神奈川県立長浜病院
pp.1228-1232
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918276
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自己を表現したいと思う気持ち
人間にはさまざまな個性的能力があり,機会をみてはその能力を発揮したり,実現したいという自己実現の欲求をもっている.しかし現実は,だれもが私でなければできない看護をしたいという欲求がありながらも,自己実現が計り知れない代償と犠牲によってしか得られない,という状況である.
多くの病院で深刻な看護婦不足と過酷な勤務体制に悩まされている.あまりにも労働条件が厳し過ぎると,看護の質を問題にするよりも,まずは量(看護婦の人数)を確保しなければ何もできない──チームナーシングなどできない──と考えられていたようである.実際人数が少なければ,1人で何でも敏速に処置や介助がこなせることを要求された.しかし治療や介助に走り回る看護婦という自分に満足が得られるだろうか.忙しい病院では,看護婦が定着しにくいという.
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