特集 看護の場は個を生かしうるか
看護の重さにつぶされてしまう看護婦たち
平井 純子
1
1神奈川県立成人病センター
pp.1222-1226
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918275
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はじめに
1961年,バージニア・ヘンダーソンは,メルボルンの第12回ICN大会において,“看護の基本となるもの”1)を発表した.看護の発生以来,先輩たちは,看護の本質がつかめない不安と不満に,日夜悩んでいたという.
この発表は,先輩たちにとって,光を与えてくれたと言っても過言ではないだろう.1つ1つの看護行為が科学的であったところで,全体を系統化できなかったそれまでの看護界にとって,‘基本的欲求に基づく日常生活への援助である’と打ち出されたのである.卒業して5年目を迎える私は,看護学概論の講義の中で当たり前であるかのように耳にし,実習を重ねる度に,なんと適切な論文かと感激したものである.
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