特集 病人の心への接近
病人の心理—不安の問題を中心にして
池田 數好
1
1佐賀大学
pp.674-679
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918188
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Ⅰ.基礎不安,臨床医学の宿命
病人の心理というとき,2つのものが区別される.ひとつは,例えば精神科領域の病人のように,その心理そのものが,診断・治療の対象になっているような,異常心理ないし精神病理を指す場合である.分裂病者の心理,うつ病者の心理などというような場合がこれにあたる.しかし,ここで述べようとすることは,それではなくて,むしろ,一般に病気にかかったとき,病気の種類のいかんにかかわらず,病人の心のなかに,しばしば共通してよくみられる,微妙で複雑な心の動き,という意味での病人の心理についてである.
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