特集 病人の心への接近
臨床看護における心理的接近の技術
深津 要
1
1国立療養所鈴鹿病院
pp.681-686
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918189
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Ⅰ.心理学的接近の意義について
病人という人間を看護するという総合看護についての理解は定着してきている.このこと自体は喜ばしいことであるが,ともすれば,病人の病状などの身体的な面に対する看護とは切り離されて考えられることがある.また,人文科学としての人間学をそのまま導入して,病人への心理的接近は,身体的症状に対する看護技術より優位にあるように誤解されている場合もある.
このことはたいへんに危険であって,自然科学としての看護学の立場をあまりにも軽視していると言えよう.病人の心理面と身体面とのからみを認識することこそ最も重要で基本的なことである.病人という人間性を重視することはいくらしてもよいが,看護における心理的接近という枠から離れすぎることは,かえって病人の心の扉を閉ざすおそれすらあろう.
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