寝たきり老人の訪問看護
老人に学ぶ
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.1302-1303
発行日 1976年12月1日
Published Date 1976/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918047
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医学の進歩は,病原菌の発見から化学療法の発見へと目覚ましいものがあります.私たちの生活環境も10年前,30年前,50年前に比べれば随分と変わっているように思います.住様式も座ることより腰かけることが多くなりましたし,火鉢が唯一の暖房の時代から,今ではボタン1つで好みの温度に調節できるようですし,衣生活や食生活の内容や嗜好も変わってきています.私たちが生まれてから今日までの数十年間を考えても,相変わらずのところもあるけれど,気づかないうちに変わっていることもあります.
よく‘人生50年’と言われます.今ではこの言葉どおりに考える人も少なくなったのではないでしょうか.人生50年と考えられていた時代はもう過去の話になりつつあります.寿命が延長され,人生70年が当たり前になってきました.このことは,高齢者人口も多くなっていることと無関係ではありません.生活環境の変化には,かなり積極的に新様式を取り入れてきている反面,人口の増大・高齢化に対しての考え方や対処の方法はまだまだ道が遠いようです.新しい生活様式は,高齢者と共に住むことを拒んでいるようにみえます,三世代が同居することが少なくなり,祖父母と生活をしたことのない看護婦が,老人の看護をしています.しかし,今後は好き・きらいに関係なく,私たちは,高齢者に接することが多くなるでしょう.そしていつかは私たちも老人になっていきます.
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