寝たきり老人の訪問看護
老人を取り巻く家族の動き
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.526-527
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917882
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家族のだれかが‘頭が痛い’とか‘おなかが痛い’などと苦痛を訴えたり,苦痛は訴えないが平素と様子が違ったり,急に元気がなくなったり,顔色がさえなかったりすると,その家族,特に主婦はどんな行動を起こすだろうか.まず医師の診断を請うことになるだろう.医師が来るまでにもどうしてよいか分からないと思いながら,放ったらかしにはできず,少しでも苦痛が和らぐようにと考えながら,あれこれと原因を探り,楽になるような処置をするにちがいない.
また医師の診察を受けて,なんらかの処置が講じられることで,家族はまずホッとすることだろう.病人の苦痛に変化はあまりなくとも,医師にかかったことで,ホッとするのはなぜだろうか.一家中で大騒ぎしても数日の経過て軽快してしまう場合は,家庭の中にしこりを残さずに,突発事故として片付けられてしまうことが多い.しかし,病気の経過がはっきりせず,長期戦の様子をみせはじめると,ストレスは病人よりも介護する家人にたまることが多くなってくる.病人が,夫・妻・息子・娘の場合は,介護する家人に主導権があるのか,家族意識が強いのか,比較的病人と介護者との関係はスムーズであるといってもよいのではないだろうか.
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