特集 老人の問題行動
問題行動のある在宅老人と家族への訪問看護
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.1018-1022
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918236
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はじめに
私たちの行動は,それを見る世代によって理解の仕方が違う場合も少なくない.相手の行動が,私たちの経験にない,理解できない行動に見えるとき,その不可解な行動に目を奪われて,相手の人格まで私たちとは異質なものと考えてしまいやすい.
老人の‘問題行動’は,多くの場合,老人の側からみれば全く当たり前のことでありながら,老人を取り巻く私たちにとっては理解できない異常行動であったり,異常動作にみえる.その程度の差によって痴呆扱いを受けたり,家庭内の厄介者として家族から見放されたり,入院治療中でありながらも退院をせまられる場面も出てくる.どうしようもない老人,言っても聞いても話の通じない老人とされ,相互理解のないままに,負担と不満を感じながら過ごしている老人でも,その異常に見える言動の根源を突きとめてみると,思いもよらない誤解が原因だったり,家族や看護者に対する遠慮や不満を十分に表現できないために,本人にも理解できないような異常行動となってしまっている場合も少なくない.
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