寝たきり老人の訪問看護
家族の不安
島田 妙子
1
1東京白十字病院
pp.1082-1083
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918000
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家庭で生活している寝たきり老人の多くは,医療的には入院加療する必要のない,症状が固定している人たちですが,身体的には何らかの障害があり,自分で自分の始末が十分にできない人たちです.中には,現代の医学では,これ以上に身体的状況を改善できない,もう限界と思われる人で,家族は入院を継続させたかったけれども,病院からは退院を勧められて,不承不承退院した老人もいます.そのような老人や家族は,安定した状態が続いている期間でも,食事の世話や入浴などの日常生活の身の回りの世話と,終日布団を敷いたままの病人がいるという重苦しさに,疲れています.
家庭にいる寝たきり老人は,近くの開業医を主治医にもち,定期的に,あるいは何かあるときには往診を受けるとか,近くの開業医が往診してくれない場合でも,少し遠いけれど往診してくれる医師を見つけて主治医になってもらうように家族がお願いにいくことが多いようです.快く引き受けてもらえば家族は一安心ですが,寝たきり老人と聞くだけで,自分の専門ではないからとか,忙しいので往診にはとても応じきれないと丁重に断わられることもあります.退院した老人の場合,入院していた病院でほとんどが‘外来に連れて来れば診察しますが,往診はできません’とはっきりと言われてしまいます.
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