ベッドサイドの看護
内服薬の自主管理
宇佐美 千恵子
1
1虎の門病院内科病棟
pp.58-60
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917557
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本院では3年前から内服薬の自主管理を実施している.実施にあたり,はじめは医師側からの反対があった.というのは,自分が入院していた時の経験から,めんどうだから服用せずに貯めていたという類の意見であった.しかしながら,医療に関する事がらがいろいろ問題にされ,各種の方法で報道されている現在,患者自身も病気について,認識を新たにしていると思われるし,めんどうだから,効果がないようだから服用しないなどという段階ではもはやなく,自分自身で自分のからだを管理しなければならないという意識をもたせる必要もあると考えた.そして特殊な薬剤を除いて(たとえば抗癌剤)その薬効や必要性をよく話し,自分で服用することにより,自分が治療グループの重要な一員であることを自覚させる意味をももっていた.
特に内科疾患の患者の場合は,入院期間はその病気の経過のごく一部であり,他の期間は自宅での療養であることも念頭におかなければならない.外来通院の患者が入院した際の服用状況を見ると,正しく,決められた期間中に終了している例は珍しく,また薬の種類によっては,家族が服用していた例や,自覚症状がなくなれば治ったものと思い込み,服薬を中止してしまう例があった.
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