- 文献概要
「結婚年令17才恋愛年令14才,国民年令青二才」という言い廻わしが一時流行つたのを覚えています。とれは,かつての連合軍最高司令官マツクアーサー元帥が,本国アメリカに帰られた後,国内を巡行し,日本に関する講演をされた折,「アメリカ人は45才の成人であるが,日本人は12才の少年である」と評されたのを皮肉つてもぢつたものと思います。彼が12才の少年と評されたのは12才の少年のように純眞とか,無邪気とかいつた善意のものでは勿論なく,まだ自已のない,自主性を持たない,幼稚な民族,という意味なのであつて,而も更に別の表現である「権力にこびる民族」というのも同様,力強いものにペコペコしたり,上におもねたりするやはり自主性のなさを指摘したものと思われます。12才だといわれたことに対して憤慨したり,怒つたりする前に,冷静に,素直にその言葉の意味の深さをかみしめてみる必要がないとはいえないのではないでせうか。村役場の一隅に根城をおろして,村民の健康管理のスケジユルを組立て,一つ一つコツコツと雨の日も風の夜も片づける事に努力と精進の日をつゞける保健婦さんの仕事は,広い看護の業務の中でも,最も独自性のある業態で,自主的なうごきそのものだと云つて差支えないでせう。
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