学生の研究
脳腫瘍を病む20歳の青年を看護して
福嶋 正子
1
1福井県立高等看護学院
pp.383-389
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917226
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はじめに
現在(昭和48年6月15日)福井県立病院脳外科における入院患者20名中,脳腫瘍患者は4名おり,全体の20%を占めている.そのうち3名までが20歳以下の青少年患者である.かつて悪性新生物といえば40歳以上の壮年期後半の人がかかる病気とみられていたが,最近では若年者に増加傾向がある.
昭和48年の‘国民衛生の動向’に記載されている昭和46年と昭和45年の死因別死亡数を比較して増加しているものを上げると,悪性新生物・肝硬変・自殺などがある.そのうち,悪性新生物は原因も明確につかめておらず,ただ早期発見・早期治療に頼っている現状で,少しの発見の遅れが死につながるような病気であるために,自分の病気が癌だと知らされた時はもちろんのこと,そうでなくても病状経過からそれとなく患者自身が癌ではないかと思い始めた時,その不安は,図り知れないことと思われる.
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