病態栄養学概説・2
病態における栄養管理の基準
榊田 博
1
1日本バプテスト病院
pp.262-265
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916897
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病態におけるエネルギー代謝
人のエネルギー代謝は基礎代謝,労作代謝および特殊動力作用よりなる.病態ではこれらの因子が正常と異なるので,エネルギー代謝の出納も正常状態のそれとは趣を異にする.一般に消費熱量(A)の算出には,1日の生活活動に要する熱量が基礎代謝に要する熱量(B)の何倍に当たるかを示す生活労作指数(X)を用いて,A=B+BX+A/10=(B+BX)×1.1の式によって算出する.個々の生活活動時のエネルギー消費の度合を基礎代謝と比較して表わすエネルギー代謝率を用い,生活上のおもな動作を時間的に記録して,1日分を集計し(生活時間調査),これら各動作による代謝量を1日分にまとめて算出する方法もある.この場合には睡眠時間を8時間,起床中の時間を16時間として,睡眠中の基礎代謝を覚醒時の10%減とみなし次式によって算出する.
A=8/24×0.9B+16/24(1.1+平均RMR)B+A/10 人のエネルギー消費量については,健康者に対する研究は比較的行なわれているが,病人に対してはいまだ研究途上の段階で必ずしも明確にされているとはいえない.疾病の種類や状態により基礎代謝量がそれぞれ異なり,いろいろの動作によるエネルギー代謝率または労作指数が正常と異なるためである.以下これらの条件についてその概略を述べる.
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