臨床薬理学・2
薬効を左右する薬物因子(その2)
保刈 成男
1
1日本大学医学部薬理学
pp.258-261
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916896
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薬物の体内分布
薬物の分布と親和性
血中に吸収された薬物は短時間内に組織に分布する.毛細血管の内膜は非常に大きな面積をもっている.この内膜と薬物分子の接触することが多いことと,内膜が多孔性であることから,水溶性および脂溶性の薬物はいずれも速やかに組織に移行する.
この場合,各組織にほぼ均等に分布する場合もあるが,薬物によっては特定の器官に高濃度に集まることがある.これはその薬物がその器官に高い親和性をもつ場合で,ヨードが甲状腺に集まるのはこの例である.しかし薬物が特定の器官にとくに強く作用したとしても,必ずしもその器官の薬物濃度が,他の器官より高いとはいえない.たとえばジギタリスは心筋に選択的に集まることはないが,心筋にたいしてとくに強く作用する.
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