病態栄養学概説・5
各種病態における治療栄養の実際—2.体重の変化を伴う疾患
榊田 博
1
1日本バプテスト病院
pp.660-663
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916329
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体重と栄養状態
体重は骨格,体成分,体脂,消化管や膀胱内容などの総和である.‘完全な栄養状態における体重’にこれらの諸条件がいかに反映するであろうか.体重の増減は,成長期においては骨格の形成と伸長,成長発育過程における体成分増と諸臓器の容量増大などの因子が関与する.骨の発育の停止した成人にあっては,もっぱら余剰摂取エネルギーの体成分への転換,蓄積の結果である.病人ではその他水の貯留も考えねばならない.体重の増減だけで栄養の状態を判定することは必ずしも正こう(鵠)を射ているといえない.
栄養学的立場での正常体重の概念をとりいれた表現として標準体重が広く用いられているが,この標準体重の意味が正しく把握されていないうらみがある.いわゆる標準体重とは,栄養の立場において理想とする体重としての要約が含まれていて,国民栄養調査に示す同一年齢,同一性における健康者の平均体重ではない.
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