連載 看護関係の心理・2
患者にどう接するか
小此木 啓吾
1
1慶応義塾大学医学部
pp.234-236
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916579
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きちょうめんな指示を出すドクター・A
ある病棟ミーティングで,2人の精神科医の意見が対立したが,これがきっかけで,看護婦さんたちの間にも論争が起こった.
自分が精神療法をしている患者さんについて,その病棟の看護婦さんには,詳しい報告と説明をし‘今は不安が強いから,やさしくいたわり,気持ちが静まるように支持(サポート)してください’とか‘彼女は回りの人々を挑発して,カッカさせゴタゴタする傾向が強いから,いちいちそのさそいに乗らないように注意してください’とか‘彼は,甘えるのがじょうずで,甘えながら自分の言い分を通すたちだから,もうちょっと厳しく,きっぱり要求は拒否してください’などと,看護上の処方箋を出すのを常としているのがドクター・Aである.そしてドクター・Aは,看護婦たちに対して,このような連絡をきちょうめんに,しかもこんせつにする点で,看護婦さんたちにも信頼され,評判もよかった.
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