こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる
登校拒否―3.登校拒否にどう接するか
吉川 武彦
1
1国立精神・神経センター精神保健研究所
pp.256-257
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900783
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どう接するか―原則的なことを3つ
1)「聴く」に徹する:うなづく.むやみに意見を言わない.指示しない.理解を示す.親の気持ちをわかつてしまわない.親の立場に立たない.教師の立場に立たない.こうして『信頼』が生まれる.その信頼が生まれてから何がしたいのと尋ねてみる.何か質問された時も(「自分が登校拒否だとは思わないが,先生はどう思うか」,「学校へ行ったほうがいいのか」など),急いで返事をしないで,「そうかなあ―」,「君はどう思う?」,「自分の考えを言ってごらんよ」と受けることが重要であろう(図1,2).
2)「対症療法」はきちんと行う:おおむね身体症状を持つ.気のせい,頑張れ,しつかりしろ,病気じゃないなどと言わない.その反対に,何でもきちんと検査して,病気を探るということをしない.要は見通しを持って,登校拒否・不登校であることをきちんとわきまえて「対症療法」を.信頼関係ができないうちは特に気を付ける.思い切って精神安定剤の使用も.薬物依存を起こさせないようにして.
3)「家族を責めない」:子どもに愛情を感じていない親はいない.相談の受け手・治療者がまず家族を信じる.だめな親はいない.だめな教師もいない.過保護も保護のうち,放任こそ問題.過干渉と過保護の見分けを.家族が変われば本人が変わる.遠隔操作の気持ちで.家族が変化し始めたら,間髪入れずにそれを指摘して支え,ほめる.子どもがどのように変わったか聞き出さない.
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