臨床薬理学・9
造血剤
保刈 成男
1
1日大医学部薬理学教室
pp.1176-1179
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916435
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生理学的に,造血とは血液中に含まれるすべての成分の産生を意味している.この点からいえば,造血剤とは血液全成分の生成を促進する薬剤ということになるが,従来から造血剤といえば主に貧血を改善するものに限られており,実地上これが最も重要である.
貧血とは,血液中の赤血球数あるいはヘモグロビン濃度が正常より低くなった状態をいい,これは症状であって病名ではない.貧血の有無は,めまい・息切れ・どうき・易疲労感・微熱などの自覚症状や,顔色,眼瞼・口腔粘膜の色調などによってある程度の推測はできるが,これらは貧血に特有のものではない.貧血の診断のためには,血中の赤血球数・ヘモグロビン(Hb)濃度・ヘマトクリット(Ht)値の測定を行なって(耳介血は変動が大きいので静脈血あるいは指尖血がよい),男子および女子それぞれ赤血球数が500万/mm3,450万/mm3,Hb濃度12.5g/dl,11.5g/dl,Ht値40%,35%以下の場合には貧血症の診断は確実になる.
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