リハビリテーション看護を考える・5
リハビリテーションのゴール
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.664-666
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916330
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リハビリテーションの目的とは
リハビリテーションの目的とは何か?—こんなことを書くと,“今さらあらたまって何を言うのか”とお叱りを受けるかもしれない.たしかにこれまでも‘リハビリテーション的アプローチ’とか,“リハビリテーションと‘治療’とは違う”とかいうことを述べてきた.その中で,リハビリテーションの目的とするところはある程度わかっていただけたはずである.しかし各論に入るまえにやはりもう一度その点をすこし掘りさげて考えておきたい.というのは,あらゆる技術に先立って,理念の正しい把握こそが真のリハビリテーションをおこなうためのカギであり,その導びきの星だからで.ある.
リハビリテーションの目的は何かということは“リハビリテーションを日本語にどう訳すか”ということにも結びついてくる.私は看護学校などでリハビリテーションについての講義を頼まれた時,まずいちばんはじめに“リハビリテーションとは何ですか,日本語ではどう言ったらよいですか”と逆に訊ねることにしている.意地が悪いようにみえるかもしれないが,学生に自分の頭で考える習慣をつけるには,彼らにさまざまな問題を投げかけるのがいちばんよい方法なのである.
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