特集 症例報告
高齢者のリハビリテーションゴール設定を考える
吉井 智晴
1
Yoshii Chiharu
1
1高齢者サービスステーションいなぎ正吉苑リハビリテーション部
pp.799-802
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105920
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はじめに
高齢者のリハビリテーションのゴール設定では,疾患そのものの特性だけでなく,痴呆の程度,高齢者のおかれている環境や介護者の状態に左右される場面が多くみられる.骨折等で一度入院すると,その後の生活に復帰するまでに多くの時間がかかる1).入院中は慣れない環境で高齢者の能力を最大限に発揮できないためゴールが低く設定されがちで2),退院してから時間をかけて改善してくるということがある.また,慢性疾患で病歴が長くなると,ゴール設定が暖昧になり,単調なリハビリテーションになりやすい.
当苑では,福祉の基本理念である「自立への援助」を目標に,年齢に関係なく,本人のニーズと心身の状況に合わせて,積極的に理学療法を実施している.今回は入院中に十分な理学療法が行えず,誰もが「車いすゴール」と思った高齢者が,元のADLレベルまで回復した症例と慢性期片麻痺患者の5年間の筋力強化を中心とした理学療法で効果が得られた症例について報告する.
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