ともに考える看護論・4
看護の概念と看護業務のあり方/看護研究のあり方
川上 武
,
川島 みどり
,
平尾 晴江
,
山根 美代子
,
小坂 富美子
pp.490-494
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916298
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看護の概念と看護業務のあり方
前回は,看護の独自機能および,その機能をはたすための基本的な看護ケアについて学び,ヘンダーソンの最もオリジナルな部分にふれたのであった,そのうえで,第3章の“看護の概念と看護業務のあり方”を読むとき,この章の大きな特徴に気づくのである.すなわち,看護業務の柱は,患者の独立を援助する看護婦本来の仕事であると明快に位置づけていることである.わたしたちが看護業務のことを考える場合に,混沌とした泥沼のような現状にまず目が向いて,そこからはい出すための方策について頭を悩ますことが多い.人手が足りない,看護以外の仕事が多い,忙しすぎる,医師との関係がうまくいかない,というような条件が先にたち,業務のすっきりしない点をすべて自分以外の要素に結びつけてしまうことがないだろうか.そして,結果として,なりゆきまかせの現状肯定論—しかたがないからあきらめよう—ということで妥協してしまうのである.それではいつまでたっても看護業務はその本来の道を歩まないであろう.
そのような意味で,この章は短いけれども考えさせられる内容をもっており,迫力のある感銘を受けたのである.それは,看護する立場を主張しつつ,常に‘患者’を中心としながら展開していく理論であるからである.
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