ともに考える看護論・7
ナイチンゲールの看護覚書き(2)
川上 武
,
川島 みどり
,
平尾 晴江
,
山根 美代子
,
小坂 富美子
pp.885-889
発行日 1972年7月1日
Published Date 1972/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916382
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前回は,看護覚書きが出版された当時の英国の社会的背景および,ナイチンゲールがその中で述べている自然治癒を促進させるための環境の諸因子と食事と食物について学び,ともに考えたのであった.この書のあとがきのところにも明記されているように,いわゆる手先のわざとしての看護を論じたものではないという.しかし,現代の私たちに新鮮な感銘をよぶのは,‘看護論’として看護の根底となる思想が明確であり,しかも,1つ1つの看護実践の技術化への示唆をふくむものも多いことから,100年後の今日,私たち自身が展開できる内容をもっているからである.
また,この看護覚書きの内容の一部は,すでに明治28年,わが国の看護婦の教科書としてもっとも使われたという佐伯理一郎記‘普通看病学’(ビルロート,佐伯理一郎訳:普通看病学p.93,1895年4月)の中にみることができるのであり,この他にも初期の看護教科書の中には,同じような流れをくむものがいくつかあり,それが正しい形で継承されなかったことについては,また別の機会に考えてみたいと思う.
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