ともに考える看護論・9
臨床看護の援助技術
川上 武
,
川島 みどり
,
平尾 晴江
,
山根 美代子
,
小坂 富美子
pp.1166-1170
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916432
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はじめに
病気を看護するのではなく,病人を看護するのであるという考え方は,人間の心身両面のはたらきを援助するうえからもたいせつなことである.
病棟における看護体制が,機能別の看護体制であるときには,1人の看護婦が全患者の注射係となり,与薬係となり,処置係となった.これは,短時間に仕事をさばくといううえからは合理的な側面をもつものである.しかし,仕事が分断されるため,1人1人の患者に対する配慮に乏しく,患者はコマ切れ看護をうけることになる.自分のなやみや心配をどの看護婦に打ち明ければよいのかわからない.一行為ごとに看護婦の顔ぶれが変わるのであるから.—そこで,看護体制も受持制がとり入れられ,精神看護の重要性が強調されることになった.それはそれでよいことであるが,基本的な看護技術があいまいであるために,またここに,精神看護・人間関係論偏重がおきている.看護制度の中身も反映して,准看護婦や無資格者との違いを,この分野に求める風潮も見のがすわけにはいかない.
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