特集 胆管癌の外科
Editorial
胆管癌をめぐる諸問題
土屋 凉一
1
,
角田 司
1
1長崎大学医学部第2外科
pp.1374-1376
発行日 1984年10月20日
Published Date 1984/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208823
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わが国における肝・胆道・膵癌の年次別発生頻度を日本病理剖検輯報の年次別全剖検例数に対するそれぞれの割合でみると,胃癌が過去10年間ほぼ10%前後で同水準を維持しているのに対し,肝癌は4%から6%へ,胆道癌(胆嚢・胆管癌)や膵癌は2%から3%へ徐々ではあるが増加していることは注目すべきことである1).しかもこれらの治療成績は,胃癌や大腸癌のそれに比べると著しく不良である.
著者は1982年医学雑誌「日本臨牀」に1981年日本胆道外科研究会,当番世話人の杉浦光雄教授が全国集計2)された胆管癌3,683症例と教室手術症例73例の成績から肝外胆管癌における問題点として,症例の過半数が上部胆管癌+肝管癌すなわち肝門部に近い胆管癌で占められていること,Stage別にはStage Ⅳの症例が過半数で,症例の約3/4はStage Ⅲ,Ⅳで占められ進行癌が多いこと,さらに上部・中部・下部胆管癌症例では5年以上生存例が得られたが,肝管癌においては未だ3年生存率を算出しうる段階でないことなどをあげ,胆管癌の治療成績を向上せしめる要因は肝門部に近い胆管癌を早期に発見し治癒切除を行うことにあると報告した3).
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