連載 現代看護の諸問題・10【最終回】
看護婦は何をすべきか
大山 正夫
1
1看護問題研究会
pp.86-90
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914813
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病院における「自前看護」
私の母は75歳であった。昨年10月,老人性肺炎の症状を呈し,高熱と呼吸困難のためS大学病院に緊急入院することになった。幸い開業医から教授の紹介が得られ,その日のうちに個室に入ることができたが,入院保証金は3万円,差額ベッド料は健保家族半額負担分を含めて1日につき2,875円の支払いを余儀なくされた。
さて入院はしたものの,患者は高熱にうなされ,いやがって酸素吸入のゴム管を外すばかりでなく,ふとんはすぐはいでしまうし,点滴中に腕を動かして針がとび出す始末で,どうしてもだれかそばについていなければならない。どこの病院でも同じように看護婦はとてもそんなことをしていられないから,やむなく家族,親戚中を動員して昼夜二交代で二人ずつ付添うこととして,自前の「看護」スケジュールを組み,交代者が前の状況がわかるように「申し送り簿」も作成したのである。私も何回か「夜勤」をやったが,消澄後,翌朝まで看護婦が一度も見まわりに来なかった日が数回あった。大学病院で,しかも医師から「万一の場合の覚悟はしておくように」と家族に申し渡しがされている患者を,いくら家族の付添がついているからとはいえ,夜1回も見に来ないのは一体どういうわけか。看護日誌には何と書くのだろう。
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