連載 現代看護の諸問題・4
看護婦の賃金(その2)
大山 正夫
1
1看護問題研究会
pp.100-104
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914581
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賃金に示された看護の評価
「看護婦の社会的地位の向上を」このことばは,おそらくすべての看護婦の共通の念願であるし,職能団体である看護協会もながいことこのスローガンをかかげてきた。しかしこの表現は,はなはだ抽象的であって,では一体どうすればよいのかということになってくると「まず看護倫理を実践すること,そうしたら世間の人が認めてくれる」とか「看護教育制度を各種学校から学校教育制度へ」などという意見に落ち着いてしまう。これらはいずれも真実をついていないのであって,看護婦の社会的地位を向上させるためには,まず第一に看護婦の賃金を引き上げねばならないのである。
心理学者のウイリアム・ジェームスは「うれしいから笑うのではなくて,笑うからうれしくなるのだ」と言ったが,同様の論理で「看護婦の社会的地位が高まったら賃金が上がるのではなくて,賃金が上がったら社会的地位が高まるのだ」と言わねばならない。
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