セミナールーム・心療内科
精神分析(Ⅰ)—無意識とは何か
石田 行仁
1
1専売公社東京病院
pp.62-63
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914678
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誤解されてはいないか
精神分析という言葉もまた,いささか誤解されてはいないだろうか。精神分析とはいったい何であるのか,そのやり方は……。患者がベッドに仰臥して分析者と話をし,分析者はフロイトの教条に従って解釈し(性的なものにすべてを還元して,あらぬ理屈をつけて),治療するものだと考えられてはいないか。優雅で知的な人びととおアソビをしているのではないか。心気症を適当に処理して独断的なご託宣を分析者がたれ,そのお告げを,おめでたい人びとがありがたく戴いている……所詮,分析とは秘密なプレイを楽しむにすぎないのか。分析で治癒するのだろうか。これが平均的な理解のしかたではなかろうか。
断乎として筆者はいう。それは間違いである。分析者は全力投球で被分析者と交り,清冽な闘いを行なっている。
精神分析を図示すると,次のようになる。
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