カラーグラビア カラースコープ
人工腎臓
高須 照夫
1
1東京慈恵会医科大学附属病院
pp.6-7
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914559
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人工腎臓による血液透析療法が急性尿毒症や急性薬物中毒の治療に効果のあるのが認められてからかなりになるが,広く普及しはじめたのはごく最近で慢性腎不全患者の社会復帰の目的で長期維持透析療法が施行されるようになってからである。現在わが国で慢性腎不全で死亡する患者は毎年1万入を越すといわれ,しかも他の慢性疾患とは異り比較的若年者の多いのが特徴である。もし人工腎臓を駆使して慢性腎不全患者の10年間社会復帰が可能とすれば,その社全貢献度には計り知れぬものがある。しかしそのためには全国で2〜3万台の人工腎臓が必要であり,しかも地域別に配置し,またどこでも治療を受けられるようなnetworkを作らねばならない。現状とはかなりかけ離れた夢物語のようであるが,アメリカではすでに実現しつつあり,わが国でも日本腎臓学会理事長,大島教授が中心となって各方面に運動されているので近い将来このような治療体制が確立されるものと信じている。
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