特別掲載
人工腎臓
柴垣 昌功
1
1聖路加国際病院内科
pp.91-98
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917635
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
人工腎臓(Artificial Kidney)とは,本来の腎臓に代わって,体の外に導き出された血液から老廃物をとり除き,水,電解質平衡の乱れを是正する機械である。それはちょうど,尿毒症で汚れた血液を洗う洗濯機のようなもので,Hemodialyzer(血液透折機)とも呼ばれる。
人工腎臓は1943年,オランダのKolffによってはじめて臨床的に用いられた1)が,10数年後,朝鮮戦争でアメリカの傷兵にたくさんの急性腎不全が発生したとき,これがさかんに活用されて,90%以上といわれた死亡率を一挙に50%に下げることに成功して以来,ひろく臨床家の関心を集めるようになった。その後,慢性腎不全に対しても,人工腎臓を定期的に用いて患者を幾年も生かし続ける長期透折療法(Chronic hemodialysis)2,3)が成功し,腎臓移植も人工腎臓の助けをかりてかなりよい成積をあげるようになって,わが国でも最近急速に人工腎臓への関心が高まってきた。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.