Medical Topics 医学の話題
人工腎臓,他
X
pp.82-83
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911862
- 有料閲覧
- 文献概要
人工内臓といわれているものの中で,もっとも古い歴史をもっている機械である。これは半永久的な使用を目的にするものではなく,一時的な腎機能不全に対して使用される。具体的に適応症をあげれば,腎臓病の末期,腎臓の損傷,自殺または過誤による毒物(昇コウなど)を服用したとぎ,異型輸血をした時などであって,いわゆる尿毒症の状態に対して適用される。しかし“死の灰”などによる急性放射能障害のとき放射能物質を体外へ急速に排出する目的にも有効である。
人工腎臓の原理的な構造はセロファン膜などの透析膜を介して,血液と灌流液との間に透析作用をおこさせる仕組みになっている。問題は,灌流液の処方を尿毒症の程度によってどのようにするか,透析の能率を上げるにはどうすればよいか,血液の保温をどのように行なうか装置をいかにして小型化し頑丈にするか,操作をいかにして簡単にするか,などの点である。これらの問題点については多くの研究がなされている。たとえば,透析能率を上げるために灌流液をかきまぜる工夫をしたり,超音波をあてたり,イオンの移動に対しては電極やイオン交換膜を使ったりしている。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.