特集 戦争と平和
わたしの読後感「白の墓碑銘」を読んで
くり返してはならないこの悲劇
川上 幾子
1
1信大病院
pp.35-36
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914078
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第一部遺稿編,第二部手記編,同じ従軍看護婦が書かれ,戦中と戦後の違いゆえ体験されたことは変わりなくとも,その表現の相違点に,いまさら悲運に遭遇された方々に対し,悲しみ,怒り,さまざまな思いが交錯する。尊い犠牲となられた方々も,心底ではさぞ後に述べられたようなそれぞれのお気持であったのではなかろうか。個人の自由を縛った容赦ない軍国主義の重圧が伺われます。母親からの一文,本人も私たちも覚悟のうえとはいえ戦死……これには涙がかれ果てるほど泣きました。戦いに勝ってこそお国のためですが,今日となっては涙よりほかありません。覚悟のうえ私を滅して国のために捧げる残酷な時代でした。
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