特集 看護における患者指導
患者心理と患者指導
木場 冨喜
1
1高知女子大学
pp.21-25
発行日 1968年5月1日
Published Date 1968/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913971
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護における患者指導とは
「患者指導ということをどのように考えていらっしゃいますか」といった質問をしてみると,必ずといっていいほど,「忙がしくて患者と話をするひまがない」とか,「そこまで手がまわらない」といった返事がかえってくる。現在多くの病院では本来看護といえるものはどの部分に残されているのかをみつけることがむずかしいほどの業務量に追われている。しかし忙がしいとか,手がまわらないとかいった表現の中には,看護における指導的役割の基本的なとらえ方にも問題がひそんでいるように思える。そしてそれをさらに追いかけてゆくと,“看護とは何か”といった本質的な問題にゆき当たる。
看護の本質については,多くの人たちによってさまざまに表現されているが,医療制度の矛盾やその複雑な人間関係のなかで,ナース自身の姿勢や能力も含めて,いまだその学問としての体系づけや実践との結びつきなどにおいて,社会的評価に耐え得るものとはなっていない。看護の本質が独自の精神的あるいは哲学的考究を含めて,今後いかに展開され研究の方法を見出してゆくかといった多くの問題がのこされている。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.