連載 日本の医療を探る・10
救急医療
川上 武
1
,
木下 安子
2
,
谷 みゆき
3
1杉並組合病院
2東大医学部保健学科
3東大新聞社
pp.85-88
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913853
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救急医療の混乱にこそ,日本医療制度の欠陥が端的にあらわれている。一刻を争う救急患者が,救急指定病院に搬送されたにもかかわらず診療拒否にあい,幾箇所かたらい回しにされて手おくれになったり,日曜日に産婦人科病院を求めつつ,ついにトラックの中で分娩せざるを得なかったり適切な処置がとられなかったために後遺症が起きたり,その犠牲はあまりに大きい。生命にかかわる重大なことなのに,なぜ放置されているのか。
しかし,このような場合でも,働く側からみれば一概にせめられない理由はあるとしても,こういう状態がひき続き起こることは許されないことである。
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