看護セミナー
医療制度と看護問題—そのしくみとこれからの方向3
吉田 秀夫
pp.81-85
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913541
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健康保障ならぬ病気保険
さて,そういう状態の中で,みなさん方は先ほどいいましたように社会保険が適用になっている。けれども,国際的にみてひじょうに貧困なのは老令年金です。国家公務員は昭和34年の10月から,地方公務員の場合には昭和37年の12月からいっさい恩給はなくなった。これから公務員をやめても恩給はもらえません。なぜなくなったかといいますと,やはり国民年金の地ならしです。共済組合というのはご承知のように4.4%という保険料をかけながら,20年公務員をやって,年令55歳からいくらもらえるかというと,やめる時の退職時の給与の3年間の平均の4割。ところが民間の場合に厚生年金保険がある。いま1,600万人入っています。このうちの3割は女子労働者です。公務員の場合でも2割ぐらいは女子公務員です。この厚生年金の場合に毎日労使合して女の場合には1000分の30,来年はこれが1000分の44になりますよ。男は1000分の35で来年から1000分の58になりそう。約2倍にあがる。それで20年間厚生年金の被保険者でいて,年今男子60,女子55からいくらもらえるかというと,3,500円位,これではあんまりみじめで,厚生省もよくわかってます。だからILOの102号という社会保障の最低の基準の条約が批准できないんです。
健康保険でいうと,予防給付と正常分べん費を入れないと,まともな健康保険といえない。ILOの102号にあります。
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