看護物理講座 Ⅱ
熱と看護
倉田 正一
1
1北海道立衛生学院
pp.56-58,95
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913529
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1.熱の性質と測定
熱とはいったいなんであろうか。大昔の人は熱は目にみえない重さのないcalorieとよばれるもので一つの物体から他の物体に流れてゆき普通知られている熱の効果を作り出すのだと信じていた。今日では,熱というのはエネルギーの一つの形であって分子の運動に関係し,物体を形造っている分子の運動が大きいほど物体の湿度は上昇する。いいかえると,物体の湿度はその分子の運動のエネルギーに比例することになる。気体の湿度が高くなるのは気体の分子の運動エネルギーが大きくなったと考えるのである。
さてエネルギーはどんな形のものも熱エネルギーに変えることができる。たとえば摩擦は力学的エネルギーを熱エネルギーに変える。寒い日に手をこすり合わせるのはこれである。同様に血液が血管の中で摩擦を起して発する熱もあろう。電気エネルギーが熱エネルギーに変えるのはわれわれが日常アイロンや電気毛布やこたつなどでよく知っている。
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