看護セミナー
医療制度と看護問題—そのしくみとこれからの方向【最終回】
吉田 秀夫
pp.58-60
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913558
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日本の医療合理化の特徴
医療機関についていいますと,先ほどの統計でいって病院の数が6428。この半分は個人病院です。これは20かせいぜい50,零細経営の個人病院です。この半数以上は個人病院だという事実を無視して,日本の場合には病院対策はできないです。そういうことと,もう一つは病院の経営主体が実に多種多様あるということです。これも日本のユニークな特徴です。そういう中で国立や公立という名前のつく病院は,本来国や地方自治体がめんどうみるのが建前です。ヨーロッパの場合,病院の大部分は地方公共団体立で,どんなに赤字になろうとめんどうをみる。ベースアップとなれば,補正予算組んでもやる。だから経営上に悩みはないようです。ところが日本の場合,国公立という名前はついていながら,実際には10年このかた独立採算でまかなえ,なるべく金もうけ本位でやれという政策が強行されているわけです。去年の4月から都道府県立ならびに市立病院は,地方公益企業体法に全部ひっかかってね。とにかく独立採算でやりなさいということですよ。やれるはずがないじゃないですか。国立や地方公共団体立というのは,外国並みの名に値しない状態である。もう一つは同じ病院同士で患者を奪い合っている。それから病院と開業医が患者を奪い合っている。その点では外国のように病院と開業医とチームワークがとれているとはいえないわけだ。外国の病院は,外来は原則的に扱わない。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.