看護セミナー
医療制度と看護問題—そのしくみとこれからの方向=2
吉田 秀夫
1
1法政大学
pp.81-84
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913513
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わが国社会保障制度の不合理
わが国の社会保障制度は国際的に比較してどういう特徴,あるいは不合理をもっているかという点を要約していいましよう。第1の特徴はとくに社会保険で,制度がむやみやたらにたくさんある。大体社会保険の種類だけで16あります。こんなに制度がバラバラだというような国はちょっとない。したがってお役所ごとにまた地方では都道府県の段階やずっと末端まで,また縦割りにもいろんな機構があるということです。
2ばんめに,日本の社会保険は法律で決められている中身が,これまたひじょうに不均衡だということです。法定給付以外のいうん施設になると雲泥(うんでい)の差がある。いちばん代表的なものは健康保険です。具体的にいいますと,大企業の健保組合ですね。国鉄や専売やあるいは電電公社というような,明治末期以来伝統的にある公済組合,このへんは両横網です。ついで国家公務員と地方公務員の共済組合。それから中小企業対象の政府管掌の健康保険。ところが同じ労働者の健康保険でもいちばん最低は日雇労働者の健康保険です。ところがこれ以下の健康保険がある。市町村の今やっている国民健康保険です。どうしてこのような差があるのか。大きな健保組合や国家公務員,地方公務員の共済組合には附加給付がある。とくに健保組合の場合には十何種類という附加給付がありますね。その中でいちばん上等だと思うのは家族が病気しても無料です。
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