想園
静かな病室
内藤 千春
1
1姫路赤十字病院内科病棟
pp.70-71
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913537
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静寂を感じさせる病棟にも早や秋を想わせる風が病室の窓から吹き込んでその感触により目覚める患者,そのひとりひとりに「いかがですか,昨夜は眠れましたか……?」と,朝の部屋廻りをする爽やかな態度の看護婦さん。この人も昨夜はきっと重症に悩まされ1〜2時間程の仮睡しかできなかったに違いない……でもその不満など少しもあらわしていない,むしろ患者ひとりひとりに「生」への望みを与えてくれる笑顔ではないか……。
看護婦の私が「急性肝炎」として止むなく入院生活を過さねばならぬ立場となった今日,患者として自分の看護生活を反省させられまた悦びを感じさせられるひとときでもある。毎日,患者へのオリエンテーション,投薬,検温,注射,重症者のナーシングケヤー,診療の介助等々……看護婦の業務範囲の広さ,これを如何にしてスムーズに処理していくか,しかし現在の看護婦の人員ではこれらの処置を機械的に処理することに追い廻され,患者の要求の大半は満されていないのでは?。
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