特集 ナースの生活—看護婦宿舎と勤務体制
看護学生寮,看護婦宿舎の現状と問題点
山田 里津
1
1厚生省看護課
pp.25-28
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912429
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看護婦の住宅問題
1950年ジュネーブで開かれたW.H.O.の第1回会議において,「専門職員に対する魅力なき生活条件」が,看護志願者を制限している要因の1つであることを報告しているように,看護婦には住居の自由が必要である。下宿でも,自宅であってもよい。また個室の寮でもよい。看護婦の業務が生命に直結した精神的負担の大きいきびしい職業であるだけに,勤務から解放されたときには,自由な個人の生活が必要であろう。看護の概念からいっても,社会の生活体の中の人間として患者を理解することが必要であり,看護の窮極は患者の精神看護であれば,個人の生活の充実は非常に重要になってくる。個人の自由な生活の確立によって,巾の広い人間性から満足な看護を患者は得られるであろう。しかし,現在の社会全般の住宅事情からみて,宿舎の必要は今後なおつづくであろう。世界のいくつかの国では,病院の敷地外に標準的なアパートメントを建て,看護婦がこのアパートを借りたくないときは,これを容易に他の人に貸すようなシステムをとっている。非常に多くの国では住宅問題,特に農村地区ではこの問題のために保健婦が得られなかったり,僻地診療所に看護婦がこなかったりして,深刻な課題となっている。
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