特集 ナースの生活—看護婦宿舎と勤務体制
病院機能と職員宿舎
服部 達太郎
1
1横浜赤十字病院
pp.32-36
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912431
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職員の住居に関する将来の希望
事業場の労働者が各々その業務に専念して成果を上げるためには,毎日遠方から混雑する通勤によって無益なエネルギーの消耗をさけ通勤に便利なできるだけ事業場近くに快適な住居があることが望ましいことは言うまでもないことである。まして病院のように多種多様な専門技術者を必要とする職場においては,その優秀な技術者を広く社会に求め,遠隔地からでも採用する必要があり,その際住居の問題は,きわめて重大な役割を演ずる。かくて人材獲得の一環としても,また住宅難緩和の福利施設の一端としても単に寄宿舎といわず,アパートないし公宅の如きものでもその必要性を痛感するものである。ことに病人を収容している病院としては,一旦非常時に際し患者を速やかに救出すべき道徳的義務があり,また近時社会問題としてとり上げられている急救医療に即応するためには各科の専門医師,看護婦はもちろんその他医療技師など相当数のものが病院指呼の間に居住することが最も望ましいことである。もとより贅沢は許されないが職員数に応じて病院の近くに快適な地を選んで一定数の独身男子用および女子用寄宿舎,看護婦寄宿舎はもとよりアパート式宿舎やまた大小数種の家族用住宅を十分に用意したいものである。まず住居を整備して精神の安定を得ればおのずから身修まり患者のため好影響をもたらすものと信ずるからである。
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