Hospital Topics 特殊病院
精神病院の職員宿舎
鈴木 淳
pp.94-95
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202187
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精神病院病棟建築は1793年の昔かち論議され,我国でもここ5〜6年前よりモダンな病棟が完成されつつあるが,従業員宿舎について言及されることは少ない。慢性疾患を対象とする療養所は交通不便の場所に建てられることが多く,従業員の大部分は官舎住いを余儀なくさせられる。宿舎は公務を離れて私生活を営むところであるが,官職によっては定められた時間外にも病院業務に従事することがしばしばである。それでなお一層,宿舎には憩いとwell-beingの条件を揃える必要があるが,実際は病院経営主体,外国では自治団体,市や県の地方議会が宿舎の重要性を認めず,建築予算を削り,不満足な1時的なものとなるのは洋の東西ともに同様である。今までも,官舎が病棟のすぐ近くにあったり,病院と官舎が隣接していたり,または宮舎が粗末で,居住設備が悪かったり,宿舎群に乱雑に割当るため居住者間に職場の対立がもち込まれたり,逆であったりして,宿舎のAd-ministrationは相当問題点を含んでいる。
フランスのVosgeに完成された精神病院の宿舎は最初から県会が深い理解を示したので,広い敷地に相当思い切った設計ができたという。病棟が12もあり,1300床あまりで,病院の敷地だけで長辺2km,短辺1kmもあるという広大さである
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