看護□社会学
病院社会とナース
杉 政孝
1
1立教大学社会学科
pp.74-75
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912704
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○病院が近代的職場組織になってきた
看護婦にとっての主要な職場である病院は,しだいに近代的な職場組織に変貌しつつあり,構造的にも機能的にも合理化している。まず第1に,病院は医師,看護婦,事務員,薬剤師,検査技師,給食員など多数の異質的職種集団の有機的統合体としてのみ,存在の意義がある。このうちには,専門職が多く,看護婦もそれらと並んで専門職としての地位を確立すべく努力しているのであるが,もともと専門職の従事者は自主独立の気風が強く,他の者にはできない役割を,しかも自分の思い通りのやり方でやるところに専門職としての自尊心と誇りをもっていた。だから,専門職はほんらいその業種だけが単独か小規模のグループを作って仕事をするのが普通であり,異なる専門職種が幾つも組み合わされて全体として一つの総合的な組織を作って仕事の能率を上げるやり方には慣れていない。いわば,専門職はもともと一国一城のあるじ的なあり方が好きだったのであり,チームワークにおける協同作業は性に合わないのである。しかし,近代的病院は正に専門職同士のチームワークを要求している。医学,薬学,看護学,食品学などの最先端の知識と技術を綜合的に患者の必要に即応して提供するためには,分業化している個々の専門職が単独でいかに努力しても駄目であり,どうしても各専門職の有機的な協同が必要となる。
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