看護□社会学
看護婦の社会的地位
杉 政孝
1
1立教大学社会学科
pp.74-75
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912774
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○待遇は社会的地位の表現である
給与を含めた看護婦の待遇改善が叫ばれるようになって,ひと昔前に比べれば,賃金や寮などの福利厚生施設を中心として君護婦の待遇はかなり向上している。しかし,専門職の仲間に入ることを主張する看護婦自身からみれば,現状ではまだまだ不満足であり,病院経営者の認識不足や労働組合の弱さが,本来ならばもっと高かるべき看護婦の待遇水準を,不当に低からしめていると憤慨する者も少なくない。
しかし,ある個人に対して与えられる待遇は,その個人が所属している職業集団に対して社会的に認められている評価によっておおよその線が定まるのである。そしてその評価は,その職業集団が占めている社会的地位の表現である。だから,看護婦の待遇の向上も,単に特定組織の内部における労働組合の斗争エネルギーの強化や病院経営者への説得だけで達成できるわけではなく,全体としての看護婦集団を単位とする社会的地位の実質的な向上こそが,待遇改善のための現実的な条件である。
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