看護□社会学
職場外の社会生活
杉 政孝
1
1立教大学社会学部
pp.74-75
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913006
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職場外の生活の意義
前号までは,数回にわたって,看護婦の職場における集団生活の問題点を考えてきたが,今回は,職場外における生活場面に注意を向けよう。前近代的な社会における職場は,仕事の場面であるとともに生活の場面でもあり,人びとは仕事と仕事以外の生活とをはっきりしたけじめなしに共有していた。今でも,商店や開業医のような小規模な職場においては,仕事の場面と生活の場面を明確に区別することがむずかしい場合もあるが,一般的には,近代社会における職場は,家庭生活を中心とする職場外の生活場面と,空間的にも時間的にもはっきりとした区別をつけられているのが普通である。職場はいわゆる公の生活領域であるのに対して,家庭を中心とするその他の生活場面は,私生活の領域と呼んでもよい。この二つの場面は,単に,空間的時間的に分離しているだけでなく,その各々の中における人間関係の顔ぶれと,関係の仕方,各個人がその場面で期待する欲求の種類などについても,明らかな区別があり,近代人の全体的な人間としての充実は,この二つの場面にそれぞれ積極的に参加することによってのみ可能となる。
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