看護□社会学
職場集団の社会学(1)
杉 政孝
1
1立教大学社会学部
pp.70-71
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912808
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○職場集団の二つの側面
病院全体を一つのまとまった集団と考えることも可能であり,またこの講座の第2回では,家族のような基礎集団に対して病院は全体として一つの機能集団であると述べたが,最近の病院は,次第に規模が大きくなるとともに,分業化と機械化を軸として,合理的な組織として組み立てられるようになった。そうなってくると,その中で働いている職員にとっては,全体としての病院よりも,部や科や係として病院組織の構成単位となっている職場のチームのほうが,身近な集団として実感的にとらえられる対象となる。制度的には病院の一員であるとしても実際の職務行動や生活は,病院の全職員と関係をもちながら行なうのでなく,限られた数の仲間とだけ接触しながら,主としてこの職場集団の中で時間をすごすことが多い。したがって,そこでの自分の役割,処遇,公私両面での人間関係などの条件が,職員の満足感や不満感の直接の原因となる場合が多い。それが,ひいては病院全体に対する印象や態度にも反映されるから,病院の管理者としては,各職場集団がそのメンバーにとって心理的,杜会的にどんな意味で考えられているかを十分に理解しておく必要がある。
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