特集 人間関係
研究
病院における人間関係
病院における人間関係の研究
吉田 幸雄
1
,
岩佐 潔
2
,
津田 豊和
2
,
塚本 蝶子
2
,
一条 勝夫
3
,
紀伊国 献三
3
,
杉 政孝
4
,
横山 定雄
5
,
岩中 芳国
6
,
小林 肇
7
,
波多野 梗子
8
,
臼田 美智子
4
,
平村 たみ
4
1病院管理研究所
2病院管理研究所医療管理部
3病院管理研究所経営管理部
4立教大学社会学部
5国立精神衛生研究所
6元 病院管理研究所
7日本マネージメントスクール教育部
8東京大学医学部研究室
pp.23-28
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201957
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1.研究のはじまり
病院資本の増大化と建築設備の近代化は今日の病院の一特色となっているのであるが,しかしそこで働いている人の問題が管理上の焦点になっているということもまた事実である。すなわち病院組織を一つの人間集団と考え,その活動能力を最高に発揮しようとする試みが人間関係を主とした管理方式の重視となって現われている。この人間関係の重視という傾向はなにも病院にかぎったことではなく,今日では各種の組織体の管理運営についてみられるものであるが,次の3つの理由において病院においてはこの点が特に重視される必要があるように思われる。すなわち,(1)病院組織という人間集団においては患者というサービスの対象がその中にはいりこんでいて,それが医療のチームの一員でもあるというような関係になっている。(2)病院においては専門職種が非常に多く,その大部分は特殊な免許資格を要するものであるから,病院組織内で職種間を移動することが出来ない。したがって多数の閉鎖的な専門グループに分かれていて,相互の人間関係を非常にむつかしいものにしている。(3)病院活動の中心となっている医師は管理的責任者であると同時に第一線の作業員である。しかも医師の本質と思われている自由性と組織の持つ諸性格とを調和させる必要があるが,これらの点に割り切れない困難さがひそんでいる。したがって医師を中心とした人間関係に非常に複雑な問題が現われてくる。
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