特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第2部 よりよく学ぶために
レポートの上手なまとめかた
田中 恒男
1
1東京大学医学部
pp.71-73
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912539
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I.なぜレポートをかくのか
学生時代をおもいだしていただきたい。何かにつけて“レポートをお出しなさい”といわれて,苦労した経験がないだろうか。レポートで試験の代わりをする先生も少なくなかつたことだと思う。点の甘い先生なら,レポートの課題にあつていようがいまいが,何か文章が書いてあれば点がもらえたかもしれない。そうした経験から,レポートとは作文のことだと考える人がいたら,これは大へんな間違いである。
レポートとは,ある目的にそつて,事実あるいは観察の結果をまとめたものをいう。大体,レポートという用語はいろいろにつかわれている。たとえば,タクシーの運転手が,ちよつとした合間に,乗客の数や行先を書くのも,会社へ提出する勤労状態のレポートだし,看護日誌も,婦長さんに提出するとレポートになる。このことからわかるように,レポートとは,主として字にたよつた(現在は字ばかりとはいえないが)報告である。
報告といいかえれば,もうレポートを書く意義もおわかりいただけたであろう。意志や情報の大部分は,レポートを通じて伝達される。ただし,業務研究や学習の場でいうレポートは,これよりずつとせまい意味で使われている。
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