アサームの旅・10
移民船で働くナースのたより—インド洋(その1)
大嶺 千枝子
1
1ゴザ病院
pp.84-85
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912451
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台湾海峡,南シナ海,ボルネオ海を通ってシンガポールそれからペナンに立ち寄り,マライ半島に添ってマラッカ海峡を北に進路を向け,スマトラ島を遠くに見つついよいよインド洋である。これからマダカスカル島(世界一大きな島)に近い絶海の孤島「モリーンヤス」までは10日間の船足である。
Hang Kong,Singapoleと移民団は交代でwatchmanを勤めたので出航にはほっとした様子である。アサームもラジオのアンテナを窓から突き出しても,誰れも飛んで来て注意をすることもない。窓から潮風をいっぱい受けて再び海上生活をはじめる。ところが夕食後最も恐しいことが起った。second-classの中国婦人の陣痛がはじまり,大急ぎ産婦人科学の頁をめくる。看護婦とはいえ,実際はTB病棟の9か,月間の経験で生まれたてそのものの看護婦である。何とも申しわけのないことになってしまった。
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