特別レポート
看護婦のための法律的責任と法解釈
仮家 達朗
1
1大阪大学医学部武田外科
pp.46-51
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912329
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はじめに
私は約10年前にルンバール・ショック事故を経験いたしました。この時はたいへん困ったのでありますが,それは経験したものでなければわかりません。これが契機となって,一念発起,余暇を盗んで通信教育により法律学を修め,爾来この方面の研鑚を積んでいる者であります。したがって,私は法医学を専攻したこともなく,ましてや法律の専門家でもありません。私の本職は臨床外科であり,その職業柄,日常何時も第一線にあって事故発生の危険に曝されております点で,皆さんと同じ立場にあるわけであります。私が,この方面の知識を修得してからのここ数年間に,その知識のお陰で,自分の遭遇した事故はもちろんのこと,他人のものをも関係して,うまく処理して切り抜けることができたものは2,3に止まりません。事故は何時起こるか,あらかじめ予測できないことでありますから,万一の場合に備えて,この方面の予備知識を持っておくことは,私の体験上絶対必要なことかと痛感いたしております。
さて,診療過誤に関係した紛争事例は,近年のせちがらい世相を反映してか,急激に増加しようとする傾向にあります。近い将来には,欧米先進諸国なみに取り扱われるようになるのではないかと心配されます。
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