静脈注射と看護業務 山形事件その後
看護婦業務の法律上の責任の限界—看護婦の注射違法事件を中心に
仮家 達朗
1
1大阪大学医学部第一外科教室
pp.44-48
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912142
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1.はじめに
かつて十余年前看護婦の静脈注射が違法と見なされた事件に端を発して,厚生省当局は,医界に対し,爾後看護婦に静脈注射を施行させないように教育指導の徹底を図られたい旨,その法解釈上の見解を発表通達したのであるが,現実の医療機関の特殊事情より,実際上右の趣旨はほとんど等閑に付されているものが実情である。たまたま最近これについての注意を喚起するがごとく,また一方,それが根本的対策を考慮すべき時期に到来したことを示唆するがごとき,不運な看護婦の静脈注射に関する医療過誤事件の最終判決があったので,ここに事件内容とともにいささか私見を述べたい。
2.事 案
事件は昭和35年某目某県立総合病院において惹起されたものである。その事実関係の要旨を略記すると……。
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